店頭の張り紙が告げる、季節限定の洋菓子の記憶
短くなった販売期間
昭和三十年代に新洋軒の人気商品として定着したシュークリームは、現在に至るまで、温かい時期は製造を行わない季節商品です。以前の名入ナプキンでご紹介したように、一皿に二つ盛り付けられるこの昔ながらの洋菓子は、かつては十月から翌年のゴールデンウィーク頃まで販売されていました。しかし、近年の平均気温の上昇に伴い、現在ではおいしい温度を厳格に保つため、十一月から三月までへと販売期間を短縮しています。
秋風の便りと二代目の直筆のポップ
冷たく身にしみる秋風が町に吹き始めると、毎年決まって「シュークリームはありますか」という、お客様からの電話がかかってきます。その声にせかされるように、牛乳・卵・砂糖の仕入れ量が一気に増え始め、二代目は「シュークリーム始めました」の直筆の張り紙を毎年準備します。そして、いよいよスタートという日に店先に張り出します。
通りを行き交う人々へ、シュークリームのシーズン到来!を静かにアピールしていました。

平成のカラー印刷とテイクアウトの流行
時代が平成へと移り変わると、一般の店舗にもデザインソフトやカラープリンターが広く普及し始め、新洋軒でも「お持ちかえり用シュークリームございます」と印字された色鮮やかなポップを制作しました。手書きの墨文字からデジタル印刷へと形を変えながら、平成十三年まで、町行く人に季節の便りをお届けしました。

お持ち帰り用の黄色い紙袋を受け取ったときのずっしりとした重み。かすかな香ばしさとバニラの甘い香りが、冷え込んだ空気と混じり合いながらの帰り路。楽しみでワクワクする瞬間です。
最後までお読みいただきありがとうございました。
【シュークリーム Final 秘密の合言葉】 店内で特別なヴィンテージ食器でのご提供をご希望のお客様は、ご注文時に以下の言葉をスタッフへお伝えください。
合言葉:「おいしいさいふ」

