Nº 6 昭和の大雪

マンパワーと雁木で乗り切った冬の記録

埋没する街並み

昭和の初め頃、冬が深まると商店街の店舗の一階は完全に雪の下に沈みます。消雪パイプや流雪溝といった設備はまだなく、降り積もる雪はそのまま街の形を変えていきました。新井のメインストリートであってもこの有様、道の両脇には屋根の高さを超える雪の壁がそびえ立ちます。そんな中、家々の軒先を繋ぐ雁木(がんぎ)はたいへん便利な存在で、街に暮らす人々の生活の動線を確保していました。薄暗い雁木の下を行き交う人々の息は白く、狭い通路を肩をぶつけながらすれ違ったものです。

従業員総出の雪掘り

雪が降り続けば客足は途絶え、商売は休止状態。店主、家族、そして住み込みの従業員に至るまで、全員で役割分担をしながらの「雪掘りしごと」は、真冬の日常の姿です。元気な男衆が中心になって厚手の衣服をまとい、木製のスコップを握りしめて屋根に上がります。押されて重くなった雪を切り出し、下へ放り投げる。単純な反復動作にへとへとになりながらも、休憩となれば熱いお汁と元気の出る賄いが待っています。時折お日さまの光が雪を照らし、白銀の見事なアーケードが浮かび上がるとそれは爽快、ご近所さんと顔をみあわせ笑顔がこぼれる瞬間です。

新洋軒の雪景色

作業を終えた店内は天国のよう、冷え切った身体にストーブの熱が痛いほど染み渡ります。雪は止まずすぐに溜まってしまうのですが、雪明かりに照らされた新洋軒は再び夕方のお客様を出迎える支度が整いました。