Nº 2 やき丼

すきやきをルーツに持つ唯一無二の味わい

正しく受け継がれる「やき丼」の名

お客様の中には、当時を懐かしんで「焼肉丼」と注文される方も少なくありません。表記も「焼き丼」や「焼丼」と様々見受けられますが、正しくは「やき丼」と書き記します。この名は、新洋軒が牛鍋屋として創業した頃の「すきやき」に由来しています。創業当時から変わらぬ配合で守り続けている甘辛い秘伝のたれは、私たちの歴史そのものです。

昭和初期から続く三枚の決まり

昭和三十年代、気づいたころには、新洋軒のやき丼には厳格な決まり事ができていました。肉はリブロースに中肉(モモ肉)などを組み合わせ、必ず三枚で構成すること。添え物には孟宗竹の水煮を二枚、そして缶詰のグリーンピースを散らすこと。この一見簡素な組み合わせこそが、丼の中で肉の旨味を引き立て、最も調和のとれた「新洋軒のやき丼」を作り上げる経験がしみついたのだと思います。

守り続けるかけがえのない価値

現代では、ステーキ丼やローストビーフ丼など趣向を凝らした肉の丼が溢れています。しかし、私たちはすきやきをルーツに持つこの一杯に、何にも代えがたい価値があると考えています。時代に流されることなく、当時のままのたれの味と、決まった具材の構成を守り続けること。それが、新洋軒という店が積み重ねてきた誠実さを、次のお客様へと繋いでいくことになると信じています。

厨房のフライパンからは、醤油と砂糖が焦げる香ばしい匂いが立ち上っています。あつあつのご飯の上に肉が並べられ、運ばれた先で、お客様が静かにうなずきながら箸を進める。新洋軒の守りたい日常です。


新洋軒の一番古い丼に、当時の食品サンプルを入れてみました。上の丼は旧ロゴマークのため、昭和20年代前後に購入したものと思われます
サービスシールを20枚集めたお客様から戻ってきた、昭和30年代、新井市(現・妙高市)時代の新洋軒サービスカード。当時は3桁の電話番号が使われていた